top of page
​入門編
物語の舞台 ニュルンベルク

 ニュルンベルクは、11世紀半ばにハインリヒ3世(1017—1056)が城を築いてから、ドイツ各地と地中海を結ぶ交易の拠点となる帝国自由都市として発展しました。またこの都市は15-16世紀に最も繁栄し、アウクスブルクと並ぶドイツ・ルネサンス文化の中心地でもありました。15世紀後半から16世紀にかけては、今回の物語に登場するハンス・ザックスのようなマイスタージンガー(職匠歌手)の活動が非常に活発で、彼らは本職として様々な手工業を営みながら、歌唱芸術にもいそしんでいたのです。

 

 そして、この町では楽譜出版の他、ドイツ最初期の管楽器製作者ハンス・フランクをはじめ、オルガンや弦楽器などの楽器製作も盛んでした。17世紀には作曲家ヨーハン・パッヘルベルが現れ、美術においてもシュトゥース(1445頃-1533)、ペーター一世(1460頃-1529)をはじめとする鋳銅師一族のフィッシャー家、木版画家ヴォールゲムート(1433/34-1519)、そして彼の弟子のアルブレヒト・デューラーらが活躍しました。

 第二次世界大戦時には旧市街が爆撃され、旧市街の90%は破壊されました。ニュルンベルクはナチス=ドイツがユダヤ人絶滅を宣言した「ニュルンベルク法」を制定した地であり、この地でナチス党大会や軍事パレードが行われました。戦後は、ドイツの戦争指導者を裁いた「ニュルンベルク裁判」が連合軍によって開かれました。

 

 また、ニュルンベルクは日本人にとってはクリスマスマーケットで有名な他、「おもちゃの街」としても知られています。15世紀以来、ニュルンベルクの職人たちがドールハウスやブリキ玩具、木製のおもちゃなどを作り、今ではドイツ製のおもちゃの4分の1がニュルンベルクで生産されているようです。

​ニュルンベルクの街並み

写真提供:藤野一夫、実行委員会メンバー

bottom of page